建築の設計・監理

 私共の事務所で設計する建築物の用途としては、住宅が圧倒的に高い割合を占めています。住宅の設計の特色は出来上る建築物への建築主の思い入れが強い、全体の面積が限られているケースが多い、又、その中に盛り込む要素が多いなどをあげることができます。結果として設計者は建築主の方とコミュニケーションを通して建築主の方が言葉には表現しきれないもので本当に求めているものを探し出す作業を絶えず行っています。又、住宅においては全体のスペースが限られているということで各部の寸法の決定にはミリ単位の緻密さが求められることがあります。床や壁、天井が住み手に近い位置にあるということで素材に対する細かい配慮も求められます。これらの住宅に固有な設計と監理の経験を通して培ったものを私は「皮膚感覚」と呼んでいます。オフィスや工場や店舗の設計をする時にも、この「皮膚感覚」を以って思考と作業を進めています。

 

私は「かたち」に対する特定のこだわりを持っていません。全ては建築主が望む「居心地のよい空間」、「街並みに貢献する外部空間」をつくり出すためにあります。建築主の方の好みは千差万別です。その好みに対応するために、世にある種々の美しいものを経験しようと旅をしているわけです。沢山の抽斗を持っていることが私の設計者としての特色だと思います。美しいと感じるものの幅は自分としては広いと思っています。建築主の方が美しいと思うものが私のそれと重なっていることは必須です。よい建築はよき建築主よき施工者、建築主と価値感を共有できる設計者が出会った時に創り出されます。そのような建築を創り出したいと思い、自己研鑽を重ねています。それは「新精神」のスタッフ全員の姿勢です。